松山先生は

元気してるかな?
今でも、眠たげな生徒を並べた教室に向かって、熱く歴史を語っているんだろうかー
中学の同級生からの電話中、ふと松山先生のことを思い出していた。

「そういえば…浜本、松山先生覚えてるか?ほら、熱くなると片方の眉を吊り上げて喋ってた」
その言葉にハッとした。まさか無意識のうちに考え事を口に出してしまったかと思ったが、どうやらそうではないようだ。

「…あぁ、覚えてる。なんせ二年間も担任だったんだから、忘れようがないね」
「そうだったっけ」
武田とは一度も同じクラスになったことがない。

「ていうかさ、たったいま俺も松山先生のことを考えてたんだよ。こういうのをシンクロニシティっていうんだっけ」
「ん?シンクロ何だって」
「いや、なんでもない」
説明するのが面倒だ。

「それで松山先生がどうしたって?」
「あ、あぁ。それがさ、松山先生が毎年くれる年賀状が、今年はまだ届かないんだよ。普段は1月中には届くんだけど」
「ふぅん…。って、いま3月だぞ?松山先生、年賀状を出すのを忘れたんじゃないの」
「いや、それはない」
「なんでそう言い切れる」

「見たんだよ」

「よきすがたなあ」
「よもくぼ」

寝よう